関節鏡視下手術による変形性膝関節症の治療

関節鏡視下手術とは、膝の中に直接内視鏡(関節鏡)を入れて行う手術です。半月板の損傷した部分や剥がれ落ちそうになっている関節軟骨を関節から取り除きます。
手術後数日で歩行が可能になりますが、その反面効果の持続が短い場合があります。
関節鏡は胃カメラと同様に、人間の目で直接膝関節の中を覗く道具です。MRI画像や臨床症状で半月板損傷を伴うと思われる変形性膝関節症には関節鏡を使った治療・手術が最適と言えます。関節鏡視下手術は基本的には入院もせずに日帰りでもできます。実際には1~2日の入院という場合が多いようです。
日本で多く使われている膝の関節鏡は、光を送るためのファイバー、外套管、小さなレンズで構成される関節鏡などでできています。また、関節鏡で見ながら異物を取り除いたり、滑膜の試験切除をしたりするための小型のパンチなどもあります。
関節鏡視下手術ですが、まずは関節鏡が入る程度(6mmぐらい・2~3ヵ所)皮膚を切って、そこから関節鏡を挿入します。関節の状態をじゅうぶんに観察し、半月板の断裂などがみつかった場合は皮膚をもう一ヵ所6ミリ程度切開し、特別な小さいハサミ、パンチなどを膝の関節の中に入れて手術します。
関節鏡視下手術はほとんどの場合、腰椎麻酔で行われます。麻酔がきいてきたら関節鏡を挿入する前に関節軟骨を傷つけないように膝関節内に生理食塩水か炭酸ガスを注入し、関節内を広げておきます。そして、切開した場所からトラカールと外套管を組み合わせ、関節包を貫いたあと、トラカールを抜いて関節内に関節鏡を挿入して膝の内部を観察します。
滑膜の部分が炎症を起こしてないか、関節軟骨の表面が荒れていたり消失していないか、半月板が毛羽立ったり断裂していないか、前後十字靱帯が断裂していないか、等について慎重に確認していきます。場合によっては手術中の膝の内部の状態をテレビモニター画面に映して患者さん自身に見てもらうこともあります。
関節鏡視下手術にかかる時間は40~60分程度です。準備の時間を合わせて2時間ぐらいでしょうか。最近では念の為に1日だけ入院するケースが多いです。
手術後はお風呂には入れませんが傷口を濡らさなければシャワーは使えます。ちなみに抜糸までの約1週間はお風呂には入れないので手術前にはいっておきましょう。
通常は2~3日ほど安静にしていれば問題はないようです。ただし、手術によっては膝関節に血液がたまることもあるので、1週間程度入院することもあります。
関節が腫れるのを防ぐために1週間は歩くのを少なめにしてください。手術の次の日からあまり痛みが出ない程度にリハビリを始めます。関節は動かさないと筋肉が萎縮して動きが悪くなります。関節軟骨は適度なストレスとともに適度に動かすことで正常に機能します。