グルコサミンやコンドロイチンなどの健康食品は変形性膝関節症に効くか

よくテレビのCMや新聞・雑誌の広告に「膝の痛みにグルコサミン、コンドロイチン・・・」や「立ったり座ったりがつらい人におすすめ!」といった文章が書かれていることがあります。
しかし、これら健康食品やサプリメントは医薬品ではないので過度に効果効能をうたうことは薬事法で禁止されています。
グルコサミンやコンドロイチンは確かに関節軟骨の重要な構成物であることは間違いありません。
グルコサミンは関節軟骨の構成成分で、グルコースとアミンが結合した分子です。軟骨の古くなった細胞が新しい細胞に入れ替わる力に作用して、軟骨を健康に保とうとするはたらきを持っています。また、関節軟骨を生成する原料にもなっており、体内で作られます。作用機序がよくわかっていないのですが、膝軟骨の新陳代謝に影響を与えると推察されています。こうしたグルコサミンですが、加齢により体内で生成する力が低下するので、健康食品・サプリメントで不足したグルコサミンを摂取しようという広告がうたれているのです。
一方コンドロイチンはフカヒレや鳥・豚の軟骨、イカ・タコ・なまこ・うなぎ・納豆・山芋・オクラなどのねばねばした食品に多く含まれます。
グルコサミンもコンドロイチンも糖鎖化合物(ムコ多糖類)の一種で、粘性を持ち、臓器や組織、なかでも関節軟骨に多く含まれ、組織に水分や弾力を与えています。そうしたグルコサミンとコンドロイチンを経口で摂取した場合、その成分は消化吸収され、関節軟骨のプロテオグリカンなど軟骨に良い成分の産生により新たな軟骨形成を促進し、炎症を抑える働きをします。ただし、これはあくまで実験室レベルでの話です。また、グルコサミンとコンドロイチンの作用について否定的な論文もたくさんあります。
これらグルコサミンとコンドロイチンのサプリメントは高額ですが、軽度の変形性膝関節症の場合につかうものと考えるべきでしょう。グルコサミンとコンドロイチンを飲んでも軟骨が画期的に再生することはありません。効果が期待できるのは初期~中期の変形性膝関節症までで、関節軟骨の摩耗が進行してしまっている進行期では効果が望めません。変形性膝関節症の人は栄養補助剤を飲んで、軟骨の損傷を少しでも補うという程度の認識で予防的かつ補助的に摂取することが大切です。軟骨の損傷を修復する薬が病院に無いように、グルコサミンとコンドロイチンの「膝を治す」効果に過度の期待はしないほうがよいでしょう。
また、販売されているサプリメントの中には粗悪品もあるので要注意です。
・成分がよくわからない商品
・製造元・販売元が不明な商品
・○○が治った!などと効果を誇張する宣伝本の商品(体験談商法)
・値段が極端に安い、あるいは極端に高い商品
これらの健康食品・サプリメントには手を出さないのが無難でしょう。
なお、その他に変形性膝関節症に効くとして紹介されることの多いサプリメントにコラーゲン、ショウガエキス、コエンザイムQ10などがありますが、これらは効果を示す研究報告は今のところありません。