変形性膝関節症の診断

変形性膝関節症の診断のためには、まず問診を行います。初期の患者さんはおもに膝に生じる違和感や一時的な痛みなどを訴えて受診します。そこで、その違和感はいつから、どこに現れ、どんな時にどのように感じられるのかを明らかにしていきます。例えば朝起き上がるときに少しこわばった感じがして膝を伸ばしづらかった、とか、正座を使用としたときにズーンとした痛みがはしった、また、椅子から立ち上がろうとしたときにズキッとした痛みがあった、等々、できるだけ具体的な状況を話してもらいます。
また、これまでの怪我(骨折や脱臼、半月板の損傷など)やスポーツの経験、職業が立ち仕事かどうかや普段の生活の様子、他の病院を受診したか、鍼灸治療を受けたか、膝を手術したことがあるか、などから膝への負担や痛みの原因を検討します。膝以外の関節の痛みなども確認し、他の病気の可能性がないかを調べます。
膝の関節が痛いとの訴えに、整形外科医は上記の様な質問をしながら「炎症性関節痛」か「非炎症性関節痛」かの見当をつけます。炎症性の関節痛は細菌などによる感染性関節炎、関節リウマチ、膠原病、痛風、偽痛風などがあります。
実は医師は患者さんが診察室に入ってきた時点から、歩く姿勢や椅子への座り方を観察しています。患者さんの歩き方や様子を観察して、歩き方はどうか、スラックスを脱ぐときの動作はどうか、などをチェックしているのです。ですが、改めて歩いてもらい、膝の曲げ伸ばしの様子を見たり(視診)、膝の触診で腫れや曲がり具合を確かめたりします。膝の視診では、膝だけでなく下半身全体を見ます。下着姿で下肢全体と両膝を比較しながら観察します。また、左右の足の長さに違いがあるか、X脚かO脚かも診断します。もちろん、膝やその周辺が赤く腫れていないか、赤みの程度はどうかなども見逃しません。
更に立位でのX線撮影によって、実際の膝関節の変形がどの程度まで進んでいるのかを確認します。
腫れがひどい場合は関節液を取って炎症の原因や程度を調べます。
これらの情報を総合して、診断を行います。