変形性膝関節症治療のための関節内注射

膝に水がたまって腫れがはげしいといった症状がある時には膝にヒアルロン酸を直接注射するという治療を行います。1週間に1回の注射を5回行います。
ヒアルロン酸製剤の関節内注射の投与法
ヒアルロン酸ナトリウム(商品名:アルツ、スーベニールなど)
1週間に1回2.5ml、計5回

関節の中には関節液という粘り気のある液体があり、これが膝の動きを滑らかにしたり、膝にかかる衝撃をやわらげる働きをしています。このような関節液のはたらきを支えている物質がヒアルロン酸です。ヒアルロン酸は膝だけでなく、身体のさまざまな部分に存在していますが、加齢により減少していきます。そこで、体外からヒアルロン酸を補い、関節の動きや軟骨の状態を修復しようというのが関節機能改善薬(ヒアルロン酸)の関節内注射の目的です。ヒアルロン酸は関節の炎症や痛みを抑えるだけでなく、軟骨の表面を保護して膝の動きをなめらかにしたり、変形の進行をくいとめたりすることで、症状をより原因に近いところから改善する可能性があると考えられています。
さらに炎症がひどい場合にはまれにステロイド剤の注射が行われることもあります。ただし、ステロイド剤は何度も注射するとステロイド関節症をおこしてむしろ関節の破壊が進行してしまう場合もあるため、現在ではあまり用いなくなっています。
膝に直接注射針を刺すという行為は、もちろんじゅうぶんに消毒しておこないますが、細菌に感染する機会であることは否定できません。万一感染をおこしてしまうと膝の状態は悪化します。ですから、関節内注射は効果は期待できますが、安易に回数を重ねることなく、慎重に行われるべき治療法です。