変形性膝関節症と水中運動

水中運動(アクアティック・エクササイズ)とは、水の浮力、抵抗、水圧や水温など、水中の特性を利用した運動療法です。
変形性膝関節症の治療における水中運動の最大の利点は、その浮力にあります。例えば、骨盤まで水につかった状態では、体重の約半分が浮力で軽くなります。胸までつかれば体重の約70%、首までつかると約90%が浮力により軽くなります。
もうひとつの利点が水の抵抗です。水中での抵抗力は運動の内容によって異なりますが、空気中の約20~30倍にもなると言われています。ですから、水中で運動すると膝に負担をかけずに有効に筋力訓練を行うことができるのです。
実際の水中運動には様々な方法があるので、専門の指導員さんからきちんと教えてもらう必要がありますが、最も基本的な運動は水中歩行です。水中歩行ではおへそから胸のあたりまで水につかり、プールをゆっくりとしたペースで往復し、これに後ろ向きや横歩きなどを加えます。1回の時間は20~30分程度として、これを週2回のペースで行うのが良いとされています。
なお、水圧や水の抵抗は心臓や肺への負荷を強めることがあるので、高血圧や心肺系の病気が心配な人はあらかじめ主治医や専門指導員などに相談する必要があります。